加藤廣著『黄金から見直す日本史』
 加藤廣著『黄金から見直す日本史』。金、政権にとっては強い関心事。我が国に金がなかったかといえば、そういうことでは、ない。

 なぜ、金が関心事となるか。言われていることだろうが、著者は申す。「久しく埋りて衣を生ぜず」「百度錬するも軽からず」「革むるに従って違わず」(34p)。

 金をめぐる関心事。「金印紫綬」「盧舎那仏」「中尊寺」「金閣」と金にまつわる施策と政権の関与がスケッチされている。

 ただ、どうもストーリーが「金」に即しているように思えず、「外濠」に紙幅をあてるの、感が。

 卑弥呼の話がいろいろあって、「なんのため」と読み進み、終わりのほうで「金印紫綬」が(16p)。むしろ「金印紫綬」にまつわる「ありうること」「あると予想されること」について、現時点での可能性を書きめぐらしていただけると、あとから史料を読み直す楽しみが広がるようにおもえるのだが。

 テキストよりも放送を通じた講演に、魅力があるかもしれないが、歴史学者の既存の見解が豊富な印象のように思えてならない、が。

編集 ペン : 東は金西は銀と言われますね。石見銀山が有ったからでしょうか。それでも金は西にとっても重要だった・・だから平泉は金を朝廷に送って独立を確保した・・らしいです^^