宮崎益輝著「日本の教訓 地震列島」。
 宮崎益輝著「日本の教訓 地震列島」。今、読んでいる。

 安政南海地震、濃尾地震、関東大震災、そして阪神淡路大地震が取り上げられる。いずれも巨大地震であるが、時々の政権、庶民がどのように対応したか、被災の教訓がどのように継承されたかという点で、そこには時代の特性というものが滲み出ている点が興味深い。

 そのなかで変化の局面のひとつが、情報の伝達と広がり。二つ目は政権の熱意と時代ならではの脆弱性。三つ目に、記憶を風化させないための継承のしくみ。

 それぞれの地震に記念碑が残されており、その紹介と解釈が記述の核の一つをなしている点が、興味深い。碑は、記憶を風化させず、被災を教訓として後世に伝える知恵の伝承システムとなっている。

 そのなかで宮崎は指摘する。地震の当事者には「被災責任」があり、その地に長く住む後世の歴史継承者にも「減災責任」がある、と。「げんさい」は減債、減殺とワープロではあるが、「減災」の用語をつくり「日本の教訓」としている点が、まことに意欲的。