矢島新著「近世美術のパトロンとアーティスト」。
 矢島新著「近世美術のパトロンとアーティスト」。瀬木慎一ほか著「日本コレクション奇譚」(日本放送出版会 2008年)のコラム欄に掲載されている。

 アートが生み出される環境に関して日本独自と見える三つの形態があるのだと、指摘する(126p)。
  幕府や大名が一つの流派=狩野派を愛好する形態。庶民を購買層とする商業ベースの成立=大津絵。第三は、作者自らの自由意志でのアート制作。

 第三のケースに代表される作家の一人が円空であるとする。江戸時代の作品が「発注をうけて制作される」(128p)ものであったのに対して、「自由な造形活動を行った者があった」とする。

 作品とその制作背景を類型化したものとして、たいへん関心をひかれた。