刺し子
  今朝、テレビをみていて得心。津軽の刺し子。「こぎん刺し」というはずながら、いつぞやは買い求めたことのある、名刺入れ。

 白地に紺糸の仕上げで、素材はなにか知らないでいた。知らないではいたが、「こぎん刺し子」が津軽の伝統工芸。

 刺繍の一種にして、衣類として用いられていたものが小物入れなどに転用されたものであることは、承知していたが。

 根本は木綿のもつ保温性や染色、デザイン性を津軽なりに暮らしに取り入れるうえでの、工夫と努力であったことを。

 寒冷地で木綿が栽培できない。ために麻の衣類を用いるが、それでは保温性に欠ける。せめてもと木綿糸で刺繍することで、麻がはだに接する部分を木綿糸の刺繍で緩和し、あわせて保温性や肌触りの両用を維持しようという智慧という。

 大正時代にいたり、木綿糸のほかに毛糸も刺繍に使われることになったという。多くは女性の手芸として受け継がれたから、津軽の人の《家族を思う気持ち》が、こめられているする。

 IT情報によると、「刺し子技法には津軽の『こぎん刺し』、南部の『菱刺し』、庄内の『庄内刺し子』があり、これらを日本三大刺し子」とういう。

 木綿栽培は畿内農業の商品作物として著名であるが、栽培が難しいなりに、《木綿以後の事》の適応であったと、知った。