桜 さくら


ソメイヨシノが開花したというのに数日前の内地の空は暗く、
内陸の畑やグランド等の土が強風で巻き上げられ、

砂塵あらし?黄砂?色々な事を想像してしまうこの頃。
福岡では最速の桜の開花とのこと。

沖縄では18日からツツジ祭りが始まるけれど、
やっぱり桜の方が好きだわ。

ふわふわっと淡いピンク色したソメイヨシノが咲くのを
ずっと待っていた。遠い南国に居ても桜が恋しい。

川沿いに咲き乱れる桜もいいけれど、山道の両側から
歩いている私の顔を撫でて微かな香りを漂わせる桜が好き。

桜には様々な想い出が沢山残っている。
恋人に自ら別れを告げて山の上から清流を眺めて泣いた日。

後ろ髪をひかれる思いで東京を捨て静岡に一人で引っ越した日、
あの時も桜が満開に咲き誇り、私の心を励ましてくれた。

町の人達は桜を見て喜び「綺麗だわ。」と桜を誉めていた。
人間がどんなに喜んでも桜は何も黙して語らない。

それでも、桜は厳しい冬に耐えて春になったら人の前に顔を出したいと
思っているかもしれない。

短い命なら思いっきり美しい姿を大勢の人に見せたいと、
思っているかもしれない。

開花してから一週間で満開になりその後はどんどん散るばかり。
ひらひら春風に舞いながら、ゆっくりと落ちゆく姿は風情がある。

沖縄の桜が散った後の青葉ばかりの木を見ると寂しい。
桜は開花したばかりの蕾の頃が夢があっていいと思う。