蝉しぐれ 
ぐっすり眠り午前6時起床。
午前中に宅急便が届く為、台所の片づけをしていた。

その後、曇ったり晴れたり小雨がぱらついたり、
くるくる変わる日中に両手鎌で草取りを始めた。

表通りから玄関先まで草が伸び放題ではみっともない。
両手鎌が錆びていたので肩に力が入ってしまう。

午前中に一時間くらい費やし、
午後も40分くらいかかったと思う。

力尽きた蝉が、
か弱い声で鳴きながら私の背中にぶつかってくる。

その蝉は知らぬ間にどこかへ消えてゆく。
羽ばたいて地上に出てからの蝉の命は短くて儚い。

七年間の地中生活から、
七日間の地上生活と聞いている。

蝉は、全身全霊をこめて誰かを愛して亡くなっていく。
花咲く春も、紅葉の秋も知らずに散ってしまう。

力の限り鳴く蝉のように、私は生きられないと思った。
誰かを愛するためだけの生き方は心が狭すぎるから。

蝉のように愛だけが人生ではない。人間だもの。
目的に向かって何才になっても追いかける小さな夢がある。

例え、途中で破れても叶わぬ夢でも追いかけてゆきたい。
その過程の中で様々な形の愛が少しあればいい。

蝉が雨の如く、
途切れる事なく鳴きしきる蝉しぐれの夕方になる。