四月の雨
うとうと眠りから覚めれば時計は6時を廻っていた。
しとしと静かに小雨の降る音が聞こえ、

もっと眠りたいなと思いながら走って階段を下りてきた。
外を見れば緑一色に染まった桜並木、若草色の田園、

大地を雨がうるおしてくれる。
木々が落とした雨の雫、いつも見ていた空なのに、

今日の雨空は何時もと違う装い、汚れた空を洗い流してくれる。
建築工事で汚れた春紅葉の葉を綺麗にお化粧してくれた。

川の水は、ざぶざぶと音をたて大きな海へ流れ、
少し水かさが増えた感じがする。

草花に元気を与え、ちょっと草取りをしない間にタンポポが
庭いっぱいに咲き乱れ、急に強く吹き始めた風の音が気になる。

日増しに色濃くなるさくらんぼの青葉は大きく葉を広げ、
たわわに実った実は赤くなり、風に吹かれて流れるように揺れている。

外出しようと玄関先に出れば、春なのに寒々とした風がぶつかって、
冷たい四月の雨が、纏めた髪をぼさぼさにしてしまう。

雨よ、風よ、貴方の心ひとつで私の心まで晴れ渡る事を知っていますか。
でも、愛は、人に与える事。四月の雨も大地に恵みの愛を与えている。