あの夏の日のように 
これほど温暖で過しやすい日は滅多にない位、11月中旬並みの
晴れの日中だった。

一人で家事をしていたので、友達が家庭菜園で取った大根等を
持参して1時間程度で帰って行った。

すっかり葉も落ちてしまった桜の樹木の枝には、
細かい枝が沢山付いて、雀達がまるで夏の時期に鳴いた蝉のように

大勢で集まり群がって、うるさいと思うほど鳴いていた。
あの夏に蝉がうるさくて堪らなかった事が、もう遠い出来事のように

季節の移り変わりの早さに驚いてしまう。
暑い、暑いと言っていた人達が、秋が過ぎて冬がきた途端に

寒い、寒いという師走を迎えて既に10日になってしまった。
師走は気持だけでも慌しく、何をしても捗らない感じがしてならない。

夕暮れ時になっても、全く風もなく雲が広がっている間から
夕焼けが綺麗に見える。この頃は何処へ行っても

ひと冬咲く山茶花が目に付く。山茶花と椿は少し似ていると思う。
玄関先の真っ赤なモミジも雨風に打たれ、四方八方に散っている。