Lycoris radiata
 イギリスの或る家庭にホームステイした或る日本人が、日本に帰る前に泊めて下さった家族に感謝の意を表そうと其の家の庭に生えていたススキやネコヤナギに似た草木の絵を写実的に描いてプレゼントしたことがあるそうです。
 自分の家の庭の植物を描いた絵を受け取ったイギリス人の家族は「素敵な日本の風物画を有難う。」という意味合いの礼を其の日本人に述べたのだそうです。
 絵を描いた本人が其の草木は日本のものでは無く庭に自生していたものだと謂っても彼等は信じず、その様な植物を自分達の庭で見た覚えは無いと主張するのです。
 イギリス人の家族は自分の庭の人の手の入った花や樹の事はよく把握してましたが、日本人が描いた様な雑草の類は殆ど気に留めておらず、其の人の描いたススキ等の類の日本にもある雑草の一種が自宅の庭に存在するとは思いもよらなかったのです。
 
 んで、何が謂いたかったのかというと、まぁそんな事もありますよって事です。
 普段気付いて居無いだけで直ぐ身近に無いと思い込んでいるものが結構身近に在る事もあるって事なんですよ。
 例えば今の時期だったら、彼岸の時期に咲く曼珠沙華が其の気付いて居無い身近なものだと思うのです。地面全てがアスファルトやコンクリートで覆われた都会ならいざ知らず、多少なりとも土が見える処を通る機会がありましたらよく気を付けて御覧になって下さい。田舎の田圃にしか無いと思われる様な野生種のリコリスが意外な場所で赤い風車の様な花を咲かせていると思いますから。