過ぎた事
 昨晩、電話口で「ふ〜ん」しか謂え無い状態に陥っていた。
 「嗚呼、そんな風に僕の事を思っていたのですか」なんて謂う訳にもいかず。
 「具体的に僕が如何したのか仰っていただけますか?」なんて更に謂えなくて。

 僕が御喋りなのだとしたら貴方は何なのだろう。
 全部飲み込んだ心算で受け止めるのか見ない振りで誤魔化すのか、見定めさえ出来無いじゃないか。

 今晩、来月から一緒に暮らす事になったお嬢さんと話していたら昨晩から考え込んでいた事全てが如何でも良くなった。
 彼女に僕が何か謂った訳で無く、彼女の幸せな状態を更に知っただけ。
 でも、其れで充分幸せを分けて貰ったのですよ。