浦雲泊 ポン・トマリ 北海道東部海岸線の地名01
 浦雲泊 ポン・トマリ 北海道東部海岸線の地名01。
 「浦雲泊 ポン・トマリ」は、北海道東部の釧路郡釧路町の海岸線に位置する地名。



 アイヌ語を語源としており、「浦雲泊」の表記は江戸時代の紀行録等には見られていない。
 「ポン・トマリ pon・tomar」は「小さい・泊地」の意とされている。

 周辺地名に
 「十町瀬 とまちせ トマ・チェ・ヌプ toma・chi・e・nup(エンゴサクを・われら・食う・野)」(山田 1984年)
 「跡永賀 あとえが atui・ka(海の・上) atui・okake(海の跡)」(前掲書)
 「冬窓床 ぷいま」

 西の「たこ岩」を擁する「十町瀬」から東の「冬窓床」までは緩やかな「弓の弧」を思わせる海岸線。
 「弓の弧」の中心部に近い地点に「浦雲泊」が位置する。
 浦雲泊は言わば小弯の中心点。丸木舟の離着にも静謐な好地点から「泊」の地名か。
 海潮のゆるやかをもたらし、周囲の100メートル級の地形凹凸が、雲の流れも安定させるか。

 漢字表記にあたりトマリは「泊」として、小湾の「小」には意味の「ポン」も。その生み出す泊機能に「浦」の字か。
 潮の流れ、雲。いずれもその留めがたき動きに「雲」を重ねて「行雲流水 こううんりゅうすい」。つまり 禅僧の雲水」の熟語を想起させたか。

 発案者、命名者の記録・伝承のないなか、たいへんな冒険ではあるも。

 ちなみに北見市常呂町の常呂川河口に位置する「ポン・トマリ」。
 「豊浜」と表記され、漁港として整備されている(山田秀三著『北海道の地名』194p 北海道新聞社 1964年)。