「千人殺せといはんに」 宿縁・宿業の東洋思想191006
<宿縁>と言い、<宿業>とする概念。
宿縁に「前世からの因縁」、宿業=「過去世で行なった行為。それが現世でよい,また悪い結果をもたらす原因となる」。



(原文)
往生のために千人殺せといはんに、すなはち殺すべし。
しかれども一人にてもかなひぬべき業縁(ごうえん)なきによりて害せざるなり。
わがこころのよくて殺さぬにはあらず、
また害せじとおもふとも百人・千人を殺すこともあるべし

(現代語訳)
極楽往生のために千人を殺せと言われればすぐに殺せるはずなのである。
しかし、たった一人さえも殺すことが出来ない過去からの業縁を背負っていればこそ、お前は他人を害することができないのだ。
自分の心が善いから殺さないのではない、
また殺したくないと思っていても百人・千人を殺さなければならない業縁もある。