入店時刻と支払いのタイミング 時蕎麦・落語


入店時刻と支払いのタイミング 時蕎麦・落語
 「時蕎麦」は、お馴染みの古典落語.16文の蕎麦代金を支払う段になり、店主と客の駆け引き.

 蕎麦屋で出された蕎麦.
 九つ時=午後11時すぎに顔を出した初めの客は、褒める、あがめる、歯が浮くように.
 「割り箸」「丼の美」「面の細さ」「舌ざわり」「切れ味」「出汁の旨さ」.
 支払いの段になり、ヒ-、フ-、ミーとと銭を置きながら、八つを過ぎたところで、「今、なんどきダー?」.店主が「ココノツ時だー」とやるもので、10、11、12・・・と「一文の得」.

 視ていた客が、別の日に店に顔を出すも、午後9時を過ぎたあたり.こちらは難癖をつける.

 「他人が食ったあと、洗った箸か」「丼はフチがノコギリ状態」「麺も・・・」「出汁も・・・」と、細部に及び.

 いよいよ支払い.客が同様に「ヒー、フー、ミー」と銭を同じく並べて「八つ」のあとに「今、何時だー」.
 店主はすかさず、「四つ時だー」.
 客も吊られておもわず、「五つ、六つ」と数えはじめて、オチ.

 江戸時代の時刻は、ある意味不定時法.「宵の九つ時」のその前は、「四つ時」.そこが理解できていないと、この話、おもしろくも、おかしくも、なしか.