戦後民主主義の起点、通過点、転換点 『私の戦後民主主義』


 戦前生まれから戦後生まれまで、38人の識者が戦後民主主義の起点、通過点、転換点を述べる.

 「天皇陛下が知らないところで軍人が勝手にやったことを事変」「天皇陛下が詔勅を発してやったことを戦争というのだ」(無着成恭 48p).
 「民主主義が本当の意味で育つ」には、「それに立ち向かう人間の、『不動の覚悟』」と「『不断の努力』が必要条件で、なお且つ、長い時間がかかる」(米沢富美子 53p).
 本州の名家に造られる庭、庭園.北海道ではその余裕も限りがあるも、決め手は「造るが精一杯、手入れにまわす投資がおぼつかず」.いつの間にやら、庭に荒廃、雑草がはびこる姿に、似るや.民主主義の空洞化、衰退.

「(人類は民主主義を導入したことで)平和と繁栄が恒久的に約束されていると思っていた」「近年のおいつぐ金融危機や先進国の経済低迷、格差社会からの拡大やテロ」「先進国をはじめその制度を支えてきた国家がその機能を発揮できないまま多くの問題に直面」(植田紳爾 54p).
 「(一五の子どもながら感じたこと)日本人の男の変わり身の早さはすごい」「『えらい人』ほど変わり身が早く、昨日と違うことを言って平気な姿」(赤松良子 65p)、

 「日本という国は、大きな変化が生じるときには必ず外圧がある」(同 65p)とも.
 まずはここまで.語録、至言はこれからも.(岩波書店 2016年).