随所に工夫、湖畔の草花(木)の春・夏・秋 『春採湖畔花ごよみ』
 書誌風に記載すると、
 釧路市立博物館友の会編『ガイドブック 春採湖畔花ごよみ 200選+α』(2007年 初版)ということに、なる.
 過日その第2刷(2009年発行)を、執筆者のお一人から頂戴した.



 「随所に工夫、湖畔の草花(木)の春・夏・秋」ということになる.
 春採湖は本市東部に位置する市中の湖.国指定の天然記念物生息地であり、一帯は公園.しかも、「日本の歴史公園100選」のひとつと、される.

 湖畔のお花畑は、湖面の北東部.公園を設計した本多静六博士が<襟裳岬>と命名した地点を含む位置にある.そこをA~Hの8地点に区分し、トータルで「255種類を整理し、ガイドブックを作成」と、「はじめに」で紹介している.

「随所に工夫」
 そこに注目すると、その第一.「4月~5月に開花」「6月~7月に開花」「8月から9月に開花」と、暦で最盛期の開花を追いながら紹介している.
 工夫の第二.全255種とされる2003年から同05年までに確認した個体から、市民投票で「心に残る花 200選」を選定した.
 「200選+α」のα部分55点は、いわば「選外」ということなのだ、そうだ.「市民との近接」と、巧みに親密性を高める工夫を見てとれる.
 工夫の第三.それは整理視点の明確さにある.その意味は、「(花の)芽吹き・つぼみ・開花・満開・残り花・結実・終わり」の過程を、3年間にわたり<緻密>な調査を積み重ねた点に示されている.

 「完成の満足感」
 本書は「はじめに」によると、「釧路市立博物館友の会の会員有志」によって取り組まれ、完成した.
 友の会会員として、「目的を持ち、意図的にかかわりたい」.その強い意志が、5年に及ぶ事業として結実させ、今にいう「サクセスストリー」を完成させた.紹介者に手渡してくださったお方の<満面の充実感>が、この間の<いきさつ>を物語っているように思えた.
 それは地域を、「探検、発見、放っておけん」(尾藤安弘著『まち再生の術語集』 岩波書店 2013年)の衝動に突き動かされた結果かもしれない.
 だが、努めて「繊細」「丁寧」「緻密」「繊細、丁寧、緻密、、簡潔」(原 研哉著『日本のデザイン-美意識がつくる未来-』(2011年 同)にまとめあげた点に、強く賛意と敬意を表しておく.