平山 恵三 ・蛭田 廣一著「現在を生きる地域資料―利用する側・提供する側-」
平山 恵三 ・蛭田 廣一著「現在を生きる地域資料―利用する側・提供する側-」。 平山:「公共図書館・地域資料供覧の空気」、蛭田:「小平市から発信」という、2本の講演録からなっている。

 平山氏は冒頭、図書館の使命は「個人の自立の支援」と「民主主義のとりで」と外川伸一教授の持論を紹介する(4p)。図書館は大きくわけて、「歓迎(型図書)館」と「監視(型図書)館」が「思える」とも指摘(28p)。
「図書館は地域の案内所・情報センターであり、究極の案内所」と見解を披歴し、「都市(まち)は人を招くから都市(まち)、人を受け入れるから都市(まち)なのです」と述べて、図書館も同じとする。

 蛭田氏の小平市立図書館の地域資料サ-ビス論は、なかなか。「そこまで、やる」は図書館界では驚異かと思う。これが公文書館長の世界なら取り立てて指摘されるほどのことでもないが、公共図書館としての取り組みなら出色。そもそも私家文書など目録もつくられることなく、ひとくくりにされているのでは。内容の復刻など経費の面から「とてもとても」とうことではあるまいか。

 自治体行政の推進、企画に図書館資料の活用と図書館職員の体系化能力ということが指摘されはじめている。
 そもそも記録集積は政治権力が施政の必要に応じて、蓄積と利用の道を開いた。「地域の課題解決と地域資料」(48p)はほぼ項目のみながら、「選択的資料提供制度」などいっそうの開陳があってもよかったのではないか。(多摩デポブックレット 4 2010年)