芳賀徹著『みやこの円熟ー江戸期の京都文化史再考ー』。
芳賀徹著『みやこの円熟ー江戸期の京都文化史再考ー』。家康が江戸に幕府を開いて400周年といっているときに、「政権が江戸に移ってからも、(注 京都は)文化の面ではいっこうに衰えることなく、かえってさかんに」(「はじめに」)と、京都の底力を解き明かす。

 はじめに『洛中洛外図屏風』。町衆のエネルギーと「花にまさりし女性たち」。本阿弥光悦、尾形光琳・乾山兄弟が登場し、伊藤仁斎に与謝野蕪村、伊藤若冲などと続く。(日本放送出版協会 2004年)。

 「はじめに」にあるように、政権が京都から江戸にうつる時期に阿国歌舞伎が再興し、京都の文化は「美術工芸の上で、染織や陶芸の上で、文学や学問の上で、独創を発揮し、工夫を凝らし、洗練をかさねて、全国への文化発信の基地となってきた」とする。

 広範な題材を解釈し、小気味よい文脈で綴られている。ホントカナ、言い過ぎでではと感じないでもないが、京都の経済力のうみだした、文字通りの「創を発揮し、工夫を凝らし、洗練をかさねて、全国への文化発信の基地」たるの所以が、情熱をこめて紹介されている。