坂本 勝著「万葉集の時代」。
坂本 勝著「万葉集の時代」。万葉集には5世紀にさかのぼる短歌もあるが、それは5世紀に造られたものとは思えず「長い伝統の中で育まれたもので、5世紀の歌声をそのまま伝えるものとは思えない」とする(134p).

7世紀。舒明天皇の時代から「集団的な歌謡を母胎としながらも、人間の心を託しうる言葉として盛んに創られた」。

 以降、百数十年を4期にわける提案。
 第1期 舒明朝から壬申の乱。飛鳥で天皇中心の律令国家の体制を築き、額田王を生む。
 第2期 ~平城遷都。唐で吸収した新時代の理想が結実。柿本人麿呂らを生む。
 第3期 ~733年まで。宮廷歌人の活躍も倭歌の歴史を飾った。山部赤人らを生む。
 第4期 ~759年の万葉集終焉歌まで。藤原家の台頭。家持ちは因幡国守に。家森が歌人として活躍するがが、万葉集に藤原一族の歌は少なく、漢詩集「懐風藻」には大伴氏一族の詩は旅人作一首のみとする。

 時代区分に説得力。歌人列挙にくわえ作風の指摘があると。できればのことながら。