原 剛著『日本の農業』。
原 剛著『日本の農業』。広島行きの航空機内で読んだ。1993年に米大凶作があって、店頭から消費者米が消えた。背後では懸命な外米輸入があって、そのことが国際的な食糧需給バランスを歪めることにもなったのだそうだ。

 本書はその後に展開する「新農政」を、環境保護の観点から考えようとしている(まえがき!!!)。
 基本法農政以来、経営体は減少し、兼業はすすみ従事者の高齢化はすすんでいるが、農政は補助や助成の金をばらまき、「画一的な営農スタイルを全国一律に及ぼそうとする」(同!!)。

 所得格差も改善しない。1994年出版の本ながら、工場勤務者の一日あたり労働賃金と、農業従事者の所得は3:1で、農業従事者は日に5600円強の所得であるという。それは地方公共団体に勤務する事務補助の賃金に類似している。

 適正価格。コーヒー生産者が日本の輸入業者に説明するくだりが、記載されている。「適正価格」というものを日本は考えてほしい。そうでないと、必要な所得を確保するために、自然破壊して大きく栽培地を拡大する。しかし、量が確保されると供給過多ということで価格がさがる。「生産者は豊かになれない、自然破壊はすすむ」。記憶しておきたい。