水系のヒストリート
釧路地方の地名を考える会。二〇〇九年度は、「情報の豊富化と蓄積」に、体系化をとりこむ元年です。
 地名情報は実に大量にあることが理解できました。むしろ際限のない広がりがあり、完璧を期することのむつかしさを、確認する十二年でもありました。

 この会の地名探索会は、ほぼ河川水系をステージに企画されています。人類の移動がその長きにわたり、河川を軸にすすめられ、生活圏をつくってきたことと、深い関係があるからです。
 白老町にでかけました。そこでは〈屋根のない博物館通〉がもうけられ、「白老の河川―その文化と歴史-」という特別展示が、町民参加で開かれています。「白老町の五十三の河川、それぞれに物語がある」。そこに展示のコンセプトが用意されていました。

 ひるがえって釧路地方。茶路川・釧路川・別寒辺川の水系。独立した大小河川は、数しれません。
地名を記録し、それぞれにこめられた物語を記録し、解釈する。たいへんな作業です。地名とその物語は、記録の速度をうわまわるはやさで、消えてゆくといっても良いのです。
 地図情報を整備し、地図を読むことのできる知識や技術にはじまり、この会がもっている資料と人材の豊さを顕在化したいとおもいます。

 当会の資料を預けている短期大学には、資料を検討し整理する空間に、記録するパソコンも用意してもらっています。
 河川水系ごとに、地名と物語を聞き、確認する作業。

 河川は道でした。つまりストリートのうえにつくられたストーリー、その結果としてのヒストリー。「ヒストリート」は、歴史・物語・道の合成語とされています。
 
 実は本会に、作業が豊富。一人一芸でご参加くださる、あらたな達人も求めています。