名峰
 富士山。旅の途中は秋晴れの好天気。

 箱根登山電車、ケーブルカー、ロープウェー。変種の交通機関を乗り継いだ。ケーブルカーとロープウェー。どこが違うか?。そこは大違いなのだが、ケーブルカーは、ケーブルでは引くが、軌道上を走る。

 ロープウェーが山頂に達したとき、右手に富士山がくっきり。鹿児島からの客人家族と同じバスケットに乗り合わせ、南と北の同床異夢のとりあわせ。

 秋晴れの下、山頂をわずかに動く、雲。くっきり見える富士。同道の首都圏居住者も、「なんども箱根には来ているが、こんなによく見える富士はこれまでなかった」。

 「次は、家族と」と言ってみても、うまく行く保証はない。「独りだけ、良い思いをして」。多分、そのようにいわれるのであろう。それほど、名峰はクッキリの秋晴れであった。