明子ひとり③




明子が小学五年生の頃、景気は徐々に良くなり、
周りを見ても好景気に幸せそうな光景が見られた。

その反面、明子の父は事業に失敗し、
借金生活を始め、家の苦しさを子供ながらに理解した。

学校に行けばとても理解できない先生が担任となる。
算数の時間になると簡単な問題が分からぬ子等に

竹の棒で頭を叩き、頭からは血を流す男子も数人見れば、
明子は恐怖感を覚えた。

まるで昭和初期か大正、明治時代のような厳しさ、
怖さを覚え、その子等はよく小学校を休校していた。

「先生、辞めて下さい!」と止める子は誰一人見えず、
明子が止めようかと思ったが勇気が出ない。

明子も余り勉強をする少女ではなく、
興味のある読売新聞の連載小説を毎朝読み
登校し、有名人の自叙伝等を読んでいた。

暮らしが貧しい我が家に家庭訪問した時、
先生はお酒を呑んでいた事を子供ながらに覚えている。

その後、明子は「何故お酒等を出したの!」母に
怒りをぶつけ親子喧嘩をした事もある。

兎に角変わった許せない先生だった。
今なら堂々と言える、何故あんな教育をしたのか、
全く宿題も勉強もしない子供が良いとは言わない。

只、打つならお尻を打てばいい。
翌年父兄会で問題になったらしい。

明子ももっと人並に勉強しておけば良かったと
後悔し大人になって暇を見て大原簿記学校に通った。

会社の事務には役に立ったと思う。
しかし実家の貧しさは世の中と反比例していくばかり。

高校受験だというのにバイトばかりしていた。
高校時代の昼食はお弁当もなく
梅干しのおにぎりばかり食べていた。

何とか高校卒業し会社の試験に合格して会社員となる。
会社では自分の言いたい事を言える女性になっていた。

明子19才の春も夢多き明るい女性に成長していた。

編集 sakura1205 : これは想像文だから。少し私の気持ちも入っています。暗いね^^
編集 sakura1205 : yumaちゃんも変な先生がいたのね。暴力をふるう。今なら大変ね。
編集 yuma : 苦労した分、明子さんはしっかりした大人になってるでしょ
編集 yuma : 昔は変な先生いたよね。暴力当たり前。それでも先生は聖職だった。今は舐められてる。いいのか悪いのか・・