さよなら富士の山
雨の夜、一本の電話が鳴った。
「エアコンから水が落ちてくるの?」

「仕方ないな、直ぐ行くよ。」嬉しそうに彼が答える。
夕食の途中なのに市内のアパートに出ていく。

自分が惨めになるから何も聞かず、
誰からの電話か分かっていても黙っていた。

その頃、郊外はすっかり秋の気配を感じていた。
北の方から潮の匂い、南の方から草の匂い。

一週間前に富士山は初冠雪し、
ぽつぽつ粉雪が頂上に舞っていた。

あの日は雨の予報も外れ、晴れて5日連続真夏日。
しかし、強風にあおられ青葉がぱらぱら散っていく。

私は柿の木に上がって赤い実も青い実も
全部摘み取った。黄ばんだ葉がひらりと落ちる。

富士の山は台風も受け止めてくれ、
願いを叶えてくれた。

富士の山から流れる水は美味しい。
やっぱり食欲の秋だと思う。

ありがとう富士の山、
また会いましょうね。

そして翌日、早朝からバタバタ最後の片づけ、
ぎりぎりで搭乗に間に合い那覇空港に着く。

空港を出るとふわーっと蒸し暑い空気が漂い、
暫くの間は蒸し暑さとの戦いだわ!

二回目の夏がきたと思えばいい。
部屋の片づけが終われば風速40mの台風が沖縄を襲う。

雨より風の荒れ狂う音ばかりが耳に残っている。
「無事に通って!」恐怖感が湧いて熟睡等、出来る筈がない。

寝不足のまま夜が明けると、やゝ強い風が残る台風一過になる。
久米島は風速60m近くで被害も大きかった。

その翌日プロバイダーの接続パスが判らず、
再度、本人確認等に時間を費やし6日目に接続された。

近所へ挨拶に行くと笑顔で迎えて貰い、
私も満面の笑みで挨拶をした。

今夜も27℃の熱帯夜で汗が止まらない。
明日は、新都心まで行かなければならない。