孤独な人
夜の散歩に出かけようと一階駐車場を通り、
ごみ置き場を見れば高齢の女性がごみの中を探していた。

その方の着ている洋服は清潔なものを着て普通の主婦と変わらない。
私と顔が合うと小声で何か呟いていたが言葉が聞き取れない。

何か良い物が有ればとごみを次々に見ながら
汚れる事など気にしてはいない様子でポリ袋を探していた。

気の毒な方だと思い、パンでも持って来てあげたいと思っても
軽はずみな行動をとれば相手に失礼になるかも知れない。

その時、あの方の探し物は空き缶だとふと気付いた。
この辺では空き缶を集めて売る人を数人見かけている。

こういう人も居れば富裕層の奥様達がデパートで
ブランド物のバックやアクセサリーを楽しそうに買い求めている。

貧富の差は、日本も外国もどこへ行っても昔から存在している。
16日に衆議院選挙で自民党が圧勝したが貧富の差はなくならない。

若い時から長年働いていれば定年後は普通に暮らせるだけの
年金を貰えると思う。しかし人の人生は運、不運で決まる場合もある。

沖縄の平均賃金は安いと知人に聞いた事がある。
青森、岩手、九州、四国、等と殆ど変らない。

ごみ置き場で会ったあの方は一人で暮らしているのだろうか。
私も一人暮らしの時はアパートにいて大晦日になると孤独に耐えていた。

人の声もしない静まりかえった誰も居ないアパートで、帰る実家もなく、
親姉妹もなく、除夜の鐘を聞きながら絶対に幸せを掴もうと心に誓った。

その後、主人を紹介され2年交際した後入籍をしたけれど、
結婚した途端に彼の心は遠くなり、何時も誰かを追い求めていた。

それでも必ず家に帰り色々な会話も多いが、
未だに遊びに夢中になっている彼を呆れてみている。

心の中で許す事が出来なくても本人が帰宅すれば「お帰りなさい。」
笑顔で迎え、世の中にはもっと素敵な人がいると思う悪妻である。

幸せなんて自分で探せば何処にも有るし、
趣味に没頭していれば孤独感もなくなる。