十三夜 
今朝5時半に目覚めると、音もなく静かな雨がふり、
その1時間後に傘をささずに可燃ごみを出した。

灰色の空にいつも飛んでいる小鳥達の声も聞こえず、
秋らしい涼しい風が心地よく吹いていた道を
遠回りして帰って来た。

暦を見れば、「十三夜」と記載されている。
十五夜(中秋の名月)は、元々中国で行われていた行事が、
日本に伝来したもの。

十三夜のお月見は、日本独特の風習らしい。
十五夜にお月見をしたら必ず十三夜にもお月見をするものと
されていた。

これは、十五夜だけでは「片月見」といって嫌われていたらしい。
十五夜の夜は月が見えたが、今日は雨ふりで十三夜は見られない。

我家は、誰もお月見等する人はなく時節の美しさも、
全く興味がない。

明治28年に樋口一葉が「十三夜」上、下小説を書いた事で有名。
一葉は、1891年4月、東京朝日新聞の小説記者、
半井桃水(なからいとうすい)に入門し、小説家を志した。

その後、指導を受けた小説「武蔵野」を1年後に発表した。
若き、一葉は桃水の親切さが忘れらず、
終生、桃水に慕情を寄せていたとの事。

終生、慕情を寄せられる人が居たからこそ、良い小説が書けた点も
有ったと思う。

夜になっても、静かな秋の雨はぽつぽつと止む事はなく
冷んやりした風が小窓をカタコト揺らす音が聞こえる。