山の緑に誘われて 
石の階段を十数歩上り、更に何段か上ると、
其処には様々な樹木が立ち並び、
古びた一戸建ての家が十数戸建ち、既にどの家も灯りが付いていた。

「××の間」。。。私は、幼い頃使用したような合鍵と部屋の名前
「××の間」を確かめて今にも壊れそうな玄関に入った。

近隣の町に今時こういう古風で風情がある宿も悪くはない。
それに庭から見た景色は絶景だった。

山々の上には富士山がうっすらと浮かんで、家で見る富士山よりも、
少し身近に感じられた。

33度の暑い日中に汗をかいて疲れた身体には「かけ流しの湯」が、
疲れを癒してくれ、何度も何度も入浴をした。

お風呂好きな私も、この夏入浴した事は殆どなくシャワーだけで
すごしていたので、大風呂や露天風呂にも入り、のんびりした。

夕食後、カラオケルームで一曲だけ歌い皆さんの歌を聴いている内に
午後22時を過ぎた為、部屋に戻った。

庭師が奇麗に刈り取っていた庭に下りて夜景を眺めて、
あの家には帰りたくないと思ったが、そんな我儘な事は出来ない。

もう辺りは山柿がたわわに実って一ヶ月もすれば
三ケ日みかんも沢山取れる時節になると思う。

今夏、何度か山に行ったが猛暑の暑い日が多かった。
昨日の猛暑が嘘のように雨戸をバタバタ音を立て、
冷んやりした強風が吹いている。

お彼岸のためお墓参りをし、お仏壇に派手なお花を奮発して
家族の帰りを待っている。