月夜の散歩
昨夜は、将棋大会に行った主人の帰宅が遅く、
爽やかな風の中、少し夜の散歩に出かけた。

足元の下を川のせせらぎの音が聞こえていた。
そして狭い道路を車がどんどん通り過ぎていく。

家族が何処で何をしているのか判らないのは、
我が家だけかも知れない。

何故、私は主人が居るのに何時も心が掴めないのだろう。
煌々と輝く月を見たって侘しいだけ。

携帯にかけても絶対に出てくれず知らんぷりして、
いい年して恋愛や遊びに夢中になっている彼を許せなかった。

眠い眼をこすって待ち続ければ、午前1時過ぎに帰宅した。
21時20分迄二人で居た場所は判っていたが、
その後の4時間は判らない。

私は、主人の顔を平手打ちしようと思ったが自分の心を静めた。
こんな人間を相手にしても仕方がない。

今夜も田園から青臭い風がすうすう吹いて
一羽のカモメが羽を大きく広げすいすいと頭上を飛んでいた。

「もう暗いからお帰りね。」カモメは私の言葉が聞こえたかの様に、
月影の中へ消えていった。

十五夜も近くなり、満月に近い月がとても奇麗な光を投げかけ、
虫の音を聞きながら帰って来た。