東京の空
東京、、、そこは今の私には住めない街に様変わりしていた。
近所に住んでいた人達は引っ越してしまい、
ビルばかりが並んでいた。

あの日の東京は、曇から晴れてきたのに気持ちは雨雲のように
晴れる事はなかった。

親しい従兄に、「××ちゃん、昔有った会社の人達が居なくて寂しいわね。」
すると、「うん、寂しいね、僕なんて何処にも行く所がなくて此処にいるのさ。」

何処の誰が、、、あの人は亡くなって、、、色々な事を教えてくれた。
その後、従兄と二人で私の家族のお墓参りに行った。

昔建てた古い土台が有るだけで姉は普通のお墓で「童女」と記載してある。
私が将来入るお墓なら建てたいけれど、
入らない為、余裕ができたら建てようか迷っている。

両親には、天国で幸福になれるように手を合わせた。
お墓でお線香をあげた時、過去の生活が走馬灯のように駆け巡り、
涙がこぼれて声を出して泣いてしまった。

「××ちゃん、もう心配いらないよ。」優しい従兄は笑っていた。
「また来ますね。」何度もお墓を振り返りながら従兄の家に向かう。

遠回りをして街を散策してもなんとなく縁のない所に来たようで、
優しい人達が消えて知人に会う事もなかった。

仲良しの同級生が沢山いるが会わずに急いで帰って来てしまい、
私の住む場所は静岡県以外にないのだろうか、、、と。

日差しが出ても、消えた下町の中小企業、消えた優しい知人達、
私の心は水浸しになってしまい、
冷夏になるのだろうか、と足を止めてふと東京の空を見つめた。