母の命日
朝から小雨がぽつぽつ降っていた。
昼前に小雨が止んだので自転車で買物に行き、

帰りは遠回りして川沿いを通った時、菜の花が満開に咲いていた。
海風が冷たくすぐに引き返して我家に帰って来た。

部屋に入った時、今日は母の命日だった事を思い出し、
お線香とお水をあげて両手を合わせた。

母が亡くなったのは、私が29才の頃だから遠い昔になってしまった。
亡くなる1年くらい前から急に寂しがりになり、

私に電話をかけてきて泣いていた。その1年後に亡くなるとは
仕事に追われていた私は夢にも思わなかった。

私の仕事も毎日夜9時迄はしていたが、午後6時に会社の電話が鳴り、
私が出た瞬間、「お母さんが亡くなったわ。」と叔母から聞いて信じられず、

会社の人達に話すと「すぐに実家に行きなさい。」と言われて
事の大変さに気付き走って住まいに帰り支度をした。

急いで母の眠る家に帰った時、青白い顔をしていた母を見て
ショックを受けて涙が止まらなかった。

亡くなる5日前迄は自分の足でトイレまで歩いていた気丈な母、
辛い人生を送っていた私に心配をかけまいと
子供には知らせないで!と父や叔母に言ったと聞いている。

昔、母は私を捨てた事を悔やんでいたと思う。過ぎた事は仕方ない。
私は、どんな環境の中に居ても大丈夫、もう恨んではいないわ。

私は運が悪かっただけ、お母さんこそ天国で幸せになってね。
そして私を見守っていてね。もう二度と逢えぬ母に呟いた。

あの日と同じように今日も冷たい風が吹き、再び雨が降り出した。