朝風 
夏だというのに蝉の声が弱々しく聞える。
梅雨が長かった為か、蝉の声が例年より静かな感じがする。

夏はやっぱり賑やかな蝉の声で目覚めなければおかしい。
晴れの朝、5時起床し、

6時にポリ袋いっぱいの可燃物をゴミ置き場に出す時、
ちょっぴり秋めいた風がすーっと吹いて、あゝもう夏も終わってしまうわ、

そんな事を思う間も無く、太陽の眩しい暑い日中になる。
お布団や洗濯物を干しながら、暑い!と呟いてしまう。

お盆も過ぎ、朝と昼の温度差がはっきりした訳ではない。
ほんの僅か、真夏の峠を越した事を朝風を受けて肌で知った。

隣のアパート工事をする大工さんの金槌の音、
電気ドリルの音が大きくて、まるで我家を工事しているように耳に響く。

夕方になれば工事も終わり静寂さが戻り、前のお宅のご主人に
ばったり出会った。

その時、「奥さんは、毎日仕事に行く訳でもなくPC等をして幸福だね!」
そう言われた。その瞬間、「幸福、不幸は私しか判りません。」と答えた。

これで幸福だと決めている人がいるだろうか。幸福には終わりがない。
人は、生きている限り悩みもあれば幸福な時もあると思う。