岡目八目
 貴方の親族のことを貴方の友人知人に悪く言うのは貴方にとって益を齎しませんよ。
 そう時折人に伝えてるけど伝わらない人にはどうにも伝わっていません。

 世の中にはその子から見て尊敬できる親と尊敬できない親が居て、尊敬できる親を持つ子は尊敬できない親の存在を理解し難いようです。
 中には子が尊敬できない親なんて存在しないと考える人もいるようです。僕は全くそう思いませんが、そう熱弁する人に出くわしたことは何度もあります。

 親を尊敬している人に親子の関係が良くない人が自分の状況を話しても共感は得難いです。人それぞれ育った環境や体験したことは違うのだから仕方ないですが、下手すると話した相手に理解してもらうどころか自分の家族を否定的に言われてるように感じられてしまうこともあります。
 また、親を尊敬している人によっては、親を尊敬するのは極々当たり前のことで、それができない人間は人として欠陥を抱えていると考える人もいるようです。そういう趣旨の発言をしている人を見たことがあります、酒の入った席でしたが。

 人それぞれ事情があり色んな家庭があります。親を悪く言う人たちの状況や感情を、僕は多少は理解しているつもりでいます。愚痴を言いたくなってしまう気持ちもよくわかります。
 ですが、その愚痴を親との関係を大事にしている人に言ったり、多くの人が見聞きできる場所で発言するのは、発言者の状況を理解していない人からの評価を不当に下げて要らぬものを招いているように思えます。
 世の中には自分の価値観と異なる価値観を提示する人に対して「自分の価値観を否定するな」「自分と同じ価値観を持っていない人間は人としておかしい」と決め付けてしまう人が一定数居ます。「親」というキーワードを否定的に扱うと、その否定を目にした人の心を揺さぶります。揺さぶられた感情のまま自分の価値観に合わない発言を否定する人も少なからず居ます。その否定が友人へ向かうのが嫌だし、愚痴を否定されて友人が悲しむのも嫌です。

 余計なお節介なのだろうとは思うけど、公の場でその腹立たしさを口に出さない方が今後の貴方の為になります。
 口に出すときは私的な場所で、貴方と価値観を共有できる人との間に限って。