根深蒂固
 妙齢の女性の知人から僕について色々言われる機会を得ました。
 こう言ってはいけないのだろうけど、彼女の僕への批難の言葉の端々に僕への評価の経緯が垣間見えて実に興味深い。
 以前、彼女に似ている別の知人に今回に酷似した批難を受けた事がありますが、その時と同じ態度を今度の彼女も僕に取っています。
 
 彼女らから貰った言葉やされた行為から想像する限りでは、僕は前回も今回も同じ経緯で女性に嫌われつつあるようです。
 前回と今回の彼女らは(前回の彼女が僕を嫌う前から)互いを嫌っており、それは同属嫌悪だと僕は思ってました。
 
 彼女らは互いに相手が自分を侮辱していると思い込み、自分を守ろうと相手の欠点を理由に相手を見下そうとしていました。相手の悪意の無い行動の中に自分を貶めるものを見出し、自分が相手を見下した所為で相手が何か自分に仕返しをするのではないかと疑いの心を抱き、更に相手を見下す。彼女らはそういう悪循環に陥ってました。
 実際に今現在の相手がどんな人物であるかを彼女らは問題にしていませんでした。彼女らは相手の誠実さを疑う事に心を奪われ、自分中心の視点で見る相手像を他人に語り、その像は時間を経るごとに脚色され歪んでいきました。
 彼女らが実際に相手を全く侮辱しなかった訳ではありませんが、彼女らは互いに相手に受けた恨みを自分の中で増幅し、決して相手を許そうとしませんでした。
 
 ここで最も興味深いのはかつて彼女らが互いを嫌ったのと同じような経緯で、時期こそ違えど、二人共に僕を嫌っていっているということです。つまり、僕も彼女らの同属なんでしょう。
 実際に現在僕は、今回僕を批難している彼女の動向に注目し、彼女が僕に悪意ある行動を取るのではないかとびくびくしています。
 これが発展していけば僕は猜疑心に凝り固まって彼女の何気ない行動全てに悪意を見出し、彼女に根拠無く恨みを抱いてしまうのではないでしょうか。
 
 こりゃ大変だ。
 更に関係を悪化させる前に僕の性格・性質を変える策を見出さなくちゃ。
 
 前回は相手にせずに逃げてしまったけれど、今回は逃げずに相手に謝罪と労わりの言葉をかけ続け、相手の僕のイメージを聞き出してみます。
 彼女が今僕をどんな存在だと感じているのか。そこから何か見出せると思うから。
 同じようなタイプの女性に次々嫌われていくのは、僕に原因があるのだろうから。それを探り、現状を打破する為に。