金色に負けました。
 僕は金色や桃色のものを身に纏うのが嫌いです。それらの色を身に纏っている人を見ても別に其れは其の人の自由なので何も言いませんが、自分が其の色に染まる事は大嫌いです。
 ショッキングピンクやゴールドのワンピースが似合う女性はそれで良いのです。似合って美しければなお宜しい。
 ただ、僕は僕がピンクやゴールドのワンピースを着た姿を想像したく無いし着たくも無いだけ。

 でも、僕は体調が少し悪い時や物事が余りうまく行かない時に其の自分が嫌いな色に自分の爪を塗ります。
 嫌いな色を常に視界に入れて、其の色に負けない様に根性を出して頑張る為に…。
 というと聴こえは良いですけど、単にしんどい時はだらだらぼんやりと過ごしてしまうので嫌いな色を塗って爪を見る度にギョッとして意識をはっきりと保とうとしているだけです。
 それで、今現在も元気を無理に出そうと思って爪を全て金色に塗っているのですけど、どうも爪を見ても根性を出すどころか余計に気が滅入ってきます。風邪による微熱と頭痛でだるくて痛くて仕方無くて空元気出す余裕はもう無いみたいです。
 それどころか、金色に塗った僕の爪を見て「金が似合ってる」という人まで現れ出しました。嗚呼、なんて事だ。これは僕の大嫌いな色なのに。
 まぁ、嫌いな色を態々自分の爪に塗る莫迦がいると思う人は少ないだろうけど…。

 と、いうわけで金色に負けました。あのギラギラと遠慮無く光る下品な色に。