事柄
 夜十時過ぎの帰り道、いつも前を通る花屋がクリスマスモードになって暗闇の中、赤と緑に彩られた植物たちと花屋の二階の飾り窓の硝子に映った少し楕円になった月が相俟って酷く美しかった事。
 いつも夜中まで煌々とライトを当ててブランドもののバックを見せびらかしている駅近くの質屋のショーウィンドウがある晩だけ真暗で如何したのだろうと思って居たら次の晩にはすっかりクリスマス風の飾り付けになってまた新しいバックを展示していた事。
 誰かから未練があるのだか恨みがあるのだか判らない電話を掛けられ捨て台詞と共に切られた事。
 
 書かないと忘れる事が多い。
 書いても忘れる場合が多い。