左手の包帯について
 左手が痛々しく見える所為か今日は頻繁に擦れ違う人と目が合う。

 昨日、何時の間に皮が捲れ血が流れる程左手を傷付けたのか僕は覚えて無い。
 電車内で周囲からの常に無い視線を感じ、皆の視線は自分の左手に流れる血に注がれてるのだと判る迄、僕は怪我の存在に気付か無かった。

 怪我は見た目程酷く無く余り痛みを感ずにいたので血を洗い流した儘傷口を露出していたら知人に顰蹙を買った。
 傷口は絆創膏で隠すには少し大きかったから、僕は完全に覆い隠そうと包帯でぐるぐる巻きにしてみたら、ちと大袈裟な見目になってしまった。