史料理解に指針 阿部猛著『数の日本史事典』


史料理解に指針 阿部猛著『数の日本史事典』
 同じ用字・用例でも、実際に使われていた時代には<どのような読み>&<どのような意味>で使われていたのか.

 豊富な史料購読歴をもつ著者が、読み込んだ数々の史料上の用字・用例の読みと意味を示す.
 「一未満」に始まり、「万以上」の項目にわけ、昇順で解説.
 「万以上」.どうした数字があるかといえば、「万機公論」の<万機>.「五十六億七千万」とうのも、文献に出てくるおなじみの用例.

 「一未満」.
 冒頭は「十分一銀」.こちらは「(江戸時代)手数料として取扱い金額の一割をとること」.

 項目数も豊富.「事典」といえば、史料上難解な用例にでくわしたときに開くも、本書は随時、移動時間内に読つづけても楽しい.
 <読み><解釈>の「引用例文を標示してくれたなら」.
 それは可能であろうが、それでは202ページ、税込み2062円ではおさまるまい.(同成社 2006年)

(取次機構の紹介)
「ジャンルや時代をこえて、数にちなんだ用語を歴史のなかから抽出。数字を追いながら歴史が楽しめる事典」.