「総序に読む二主題、一目標」 山折哲雄著『「教行信証」を読む」
「総序に読む二主題、一目標」 山折哲雄著『「教行信証」を読む」.
 類書は多い.しかし、総序の記載構造を親鸞の思想形成で、重要なプロセスの表明と読んでいる、ようでもある.
 しかも『古事記』、『平家物語』、自著から末裔の蓮如に至る日本思想史上の枠組みにおいて、本書を理解しようとする意欲を示す.



洋上浄土・悪逆往生、悪を転じて徳をなすの正智
 「二主題 一目標」とは、「洋上浄土・悪逆往生、悪を転じて徳をなすの正智」の思想.
 『教行信証』は末法世界、無常観の時代に執筆される.その世、時代をうけてか『古事記』の文脈に「総序」の思想を位置づけ、他方で『平家物語』の無常観に距離をおきつつ、無常観の脈絡は蓮如の時代に「白骨の章」に顕現する、と説示.

原文307字、釈文572字
 ネット情報ながら総序は、原文307字、釈文572字で構成.その短文に一章をあててる.読了はしていないが、本書の基調は、実にこの論説に込められているのかも.そうした思いをいだく、いわば迫力に本書ははじまる.(岩波2新書 2010年).