ここまで言われるか 水野和夫著「黒田バズーカは誤爆した」
ここまで言われるか 水野和夫著「黒田バズーカは誤爆した」
 マイナス金利発表(160219 日銀)をうけて「金融市場の混乱、銀行預金金利引き下げ、生命保険料引き上げ」と、日本経済と国民の生活は、将来の不安感から、大きく揺らいだとする(176p).



 マイナス金利政策を、「空振りに終わった『奇策』」とすら、指摘(177p).黒田バズーカ第三弾は、「空振りに終わったことを強く印象づけた」とも書く(同).
 円安・株高をもたしたが、景気がよくなったという実感は「世間にない」は、同感する.非正規雇用は改善されないし、年金原資は株式投資で目減りしているはずだし、政府要人の強弁は、誰のためのものか次第に明確になってきている.
 
 「企業が原油安のメリットをすべて株主やCEOに還元」「得られた利益を内部留保に溜め」「従業員の給与にまわさない」(179p).こちらむしろ、実感がある.
  マイナス金利.「国債保有で地方銀行のほうが大きな打撃」「ゆうちょ銀行は業績悪化が懸念」.こちらは郵政株の「追加売却に遅れがでるのでは」(181p).

 著者は民主党政権下で「内閣官房内閣審議官などを務め」と、言う.そうした経歴の投稿を掲載するところに、政策破綻の日が近い点を暗示しているのかも〈『文藝春秋』 2016年4月号〉