円空作仏像観音像 厳島神社


 円空作仏像観音像 厳島神社.
 円空(修験僧 1632~1695)は江戸時代初期の僧です。現在の岐阜県に生まれ、全国各地を遊行して多数の仏像を彫りました。 

 従来の仏像の決まり事にしばられない個性的な円空の仏像は「円空仏」と呼ばれ、昭和30年代に木彫りとしての評価が一気に高まったとされています.
 円空は寛文6年(1666)から翌7年頃に北海道に滞在しており、現在約40体の円空仏が道内各地で発見されています。

 厳島神社の円空仏は、台座の背面部分に『くすりのためごんげん』と彫り込まれ、また墨で『本地観世菩薩(ほんじかんぜぼさつ)』と書き込まれています。
 この仏像は円空自身が釧路まで来て彫ったのではなく、現在の豊浦町礼文華(れぶんげ)の噴火湾に面した洞窟の中に他の円空仏とともに置かれていました。
 それが寛政11年(1799)に幕府の役人、松田伝十郎の手によって当時『くすり』と呼ばれていた釧路に移されたのです。 

 『くすりのたけ』という山の神の本当の姿として観音菩薩の像を彫り、山の神を鎮めることを願ったのでしょう。
 日本で最も東に伝わってきた円空仏として、また神と仏の関係についての円空の考え方を伝えるものとして、貴重な文化財です。