世代間伝承・病気にならない・素材多様性利用 岸朝子著「おいしゅうございます」
世代間伝承・病気にならない・素材多様性利用 岸朝子著「おいしゅうございます」



 千葉県で養蠣(ようれい)業.つまり牡蠣養殖から転じて主婦の友社で編集と女性記者に.
 女子栄養大で『栄養と料理』の編集長、編集社自営のキャリアを重ねた著者の、文字通り「人生の生き方」.

 「(戦前の時代)各家庭で、子から孫へと、料理の作り方や味は受け継がれていった」「戦争を体験した世代の中には、そうした育ち方ができない人も多かった」(43p)

 「美味しいもの」と「ホンモノの味」に幼いころから触れる機会があった(11p).

 「(昭和40年代にはいり)病気と食事の関係の深さに改めて考えるようになった」(52p)
 インスタント食品が出まわり、外食も一般に普及して、お金さえ出せば好きなモノが食べられる時代になった、その裏にあるもの.
 それは「職の大切さをみんなに再認識させることはできないものか」(同).つまり、「病人を作らないための食事」(55p)の提示.

 あわせて、「食品を乳製品、穀類、肉や魚、野菜といった四つのグループに分けて点数をつけ、バランスよく栄養を摂るための食事をわかりやすく定めた」『四群点数法』(55p).

料理についていえば、「昭和二十年代の『胃袋の時代』」、三十年代の『舌で味わう時代』を経て、四十年代には『目で味わう時代』」に(62p).つまり、「舌で美味しいと感じるだけでは飽き足らなくなって、見た目の美しさにもこだわる時代」(同).

 図画工作の授業で「我が家の朝の風景」.(息子が描いた)「お父さんは布団をたたんでいる、おばあちゃんは朝ご飯を作っている、おじいちゃんは新聞を読んでいる、お母さんはお化粧をしている」(77p).(『知るを楽しむ 人生の生き方』 日本放送出版協会 2007年8月).