守田 優著『地下水は語る-見えない資源の危機』
 守田 優著『地下水は語る-見えない資源の危機』。「地番沈下」、「湧水」、「地下水の環境」と続く。

 東京大学の中の構内に戦前から設けられていた、深さ380メートルの実験用の井戸が、あった。そこが実は地下水位を計測するデータ取得源となる。結果、江東区など「東京ゼロメートル地帯」を生みだした、地盤沈下の要因がわかる。要因は工業用水の取得にあった点が明確になったといいう。

 井の頭池。井の頭公園は良く聞くが行ってみたことはない。そこが神田上水の水源となっているということなのだ。その池の水位がひくくなって、上水の水源は途中から供給される生活排水というから、たいへん。池の水位が低下する要因は<湧水>の枯渇。

 昭和55年から10年かけて清流をとりもどす取り組みが積みあげられたのだそうだ。

 地盤沈下が安定したところで発生したのが、地下水に有機溶剤などが蓄積する、<地下水の環境>問題。水質悪化が、人体にも有害な化学物質を含有することが、問題に。絶縁液体の排出やクリーニング溶剤を未処理のまま、排出したためということ、か。

 目下、読んでいる途中。なぜ、地下水はこれほどまでに傷めつけられるか。サブタイトルに「見えない資源の危機」とある。水に<公水>と<私水>があって、地下水は<私水>にあたり、規制の網がかかっていなかったうえ、水質としても透過、兆時間の伏流できわめて安定性と成分均一性が高いのだと、いう。

 よく、非火山性の温泉を掘り当てて、地盤沈下がおこらないのかと、心配する人がいる。そうした声が、本書をてにとった要因のひとつではある。世間は、「眼にみえるものは感心をもつ」。しかし目に見えないものには、人間の都合を押し付けいるだけではない、か。あらためて本書は、そうした点を考えさせてくれる。(岩波新書 2012年6月)。

編集 ペン : 水はタダっという感じが日本にはありますね。いくらでも湧いてくると考えていたんだろうなぁっと・・川の自浄能力をはるかに超えた事態が起きているようです