三國廉太郎談「虚と実を生きる」
三國廉太郎談「虚と実を生きる」。三國廉太郎と言えば、本邦映画の華やかなりし時代をになった大スターの一人ではないか。

 その映画界デビュー、いささか偶然ともいえる松竹のスカウトから開始されるとする。

 大スターで銀幕を圧倒しながらも、ふところ具合はかならずしも穏やかではなかったらしい。その要因は松竹など主力映画会社におさまらず、東方・日活・独立プロと、監督本位・作品主体に渡り歩いた軌跡のなせるワザ、か。

 自ら脚本も手がけたと言う、『親鸞 白い道』の紹介がある。床がぬけるほどの資料群、江の島かに宿を確保しての資料整理、10年かをかけた原作と脚本。
 かりたてものは、放念と親鸞に「(二人の教えは)何度目かの本来の仏教の覚醒」、「(語弊はあるかもしれませんが)民衆の立場に立った優れた思想」ではいかと思いいたることになる(143p)。

 三國は「釣りバカ」シリーズで、建設会社のオーナーを務める。マチ中で「スーさん」と役柄名で呼ばれながらも、「芝居」「仏教」「家族」を語り、「そういう風に生きていた男がいるんだと思って見つめてほしいし、僕をクッションにしてそれぞれの人生の考えてくれればいい」とする(158p)。

 「釣りばか日誌」の浜崎伝助のごとく、多くの人の個性が生かされる組織であると、よいのだが(『NHK知るを楽しむ 人生の生き方』 日本放送出版協会 2008年)

編集 ペン : サラリーマンが良く口にする言葉「うちの会社」これって変ですよね。「あなたのものではありません」って言いたくなります。個が生かされる社会が実現してほしいものです。