山本博文著「ナナメ読み忠臣蔵」
歌舞伎やドラマでおなじみの赤穂事件。最高学府の教授が、その構造を解きあかす。

討ち入りに参加する理由は、なにか?。それぞれの選択を見極める。喧嘩両成敗でなかった措置を、幕府にかわって仇討するということか。家臣にかつがれた筆頭家老と数氏の一族が、「武士の一分」をかけて、プロジェクトをすすめる。

1年半に及ぶ一団の結集。それを支えた財務を検討。690両余の経費は、当主夫人が実家から持参した「化粧料」から支出されたとある。時価6900万円相当ながら大半を使い尽くし、7量ほどは大石が自腹をきった。寸でのところで財庫は、いや財布はすでに底をついていたと、見る。

家臣が家族にあてた手紙の検討。武士に士官はそもそも戦闘要員を志願したということ。そこが現下の地方公務員とは異なるところ。平時であっても主君のために命、おとすは兵家の常というところ。裾持というか、プライドというか。大石にして1500石、1億5000万円の知行は安いか、高いか。

いつから「忠臣」がいわれるようになったか。政策判断を儒教、政治バランス、幕府と大名家との二元関係などから思想の問題として検討し、江戸の歌舞伎もまったくの別物語から勧善徴悪、現在のドラマの筋書きは、それなりに史実に近いのだとする。NHK教育テレビのテキスト。、