宗匠立机
 宗匠立机は、「そうしょうりっき」と読むそうだ。

 楠元六男著『芭蕉と門人たち』(NHKセミナー 江戸文芸をよむ)を読み始めた。

 著者は申される。「漂白の詩人」のイメージのある芭蕉を、「諸国の俳人と交流し、芭蕉らしい世界を展開」と証言する(p5)。漂白していては、諸国の俳人との交流は難しい。「師匠、今回もお留守ですか」は、ないだろう、と。

 正保元年(1644年)に誕生した芭蕉は、延宝初期30歳前後のそのときに江戸に進出する。延宝6(1678)年の記事に、歳旦帳(歳のはじめに出版する句帳)があって、職業俳人として自立し、門弟を抱える存在であったことを示す(p48)。

 宗匠立机は、俳人としての苦労に日の目のあたるときを、迎えたのであると言う(日本放送出版協会 1994年)。