アメリカ化
 『世界』5月号に、寺島実郎氏の原稿が掲載されている。
 本邦のテレビ放送開始直後から、テレビ用映画の多くが輸入され、安い放映料で番組化された。テレビ放送が録画による番組を放送することが難しいときに、輸入テレビ用映画はその間隙を埋めるものとして扱われ、しかも格安の放映料で放送できるため歓迎された。しかし、その背景には、日本の放送局の都合以上に、USAによる日本のアメリカ化の戦略があったのだと、する。

 そのころの英語の教科書『Jack and Betty』。その挿入画には、ソファ・テレビ・電気スタンド。我が家が畳にチャブ台、ラジオに裸電球の時代であったから、その落差は大きかった。
 いつの日、そうした暮らしの時期がくるものかと思案するまでもなく、冷蔵庫・テレビ・ソファ、椅子式食卓の時代がやってきた。

 暮らしのアメリカ化。郊外型大規模小売店や24時間営業のコンビニ、マイカーつきの生活はまもなくやってきた。コーヒーにパン。肉といえばウサギか鶏、羊肉の時代は、豚肉・牛肉の時代になり輸入牛肉の品質保証が課題となっている。

 知らぬところで暮らしのアメリカ化。実は、意図的、計画的、組織的に行われていたことを知る。