木下博臣著『芝義太郎』
 なぜ、「石炭輸送鉄道」の夢を日曜日の朝、みることになったか。土曜日から、日曜日にかけて、木下博臣著『芝義太郎』を読んでいたからかも。要旨は以下のとおり、である。
 
 帯には「田舎での一青年が、日本最優秀・多色刷高速度輪転機製造会社の経営者へ」と、解説がある。高速度輪転機製造会社とは、東京機械製作所の産みの親である。
 
 しかしそれだけでなく、明治6年生まれの義太郎が46歳の暮れ、北海道東部で石炭輸送専用の民営鉄道開設と炭鉱開発に乗りだす。
 そうしたくだりが紹介されて、第一次世界大戦下の経済不況を梃子に炭鉱開業に挑戦しつつも、関東大震災後の船舶輸送が隘路となって、三菱傘下に転じていく、いわば「資力の相違」を図式でみるような思いで、起業・展開・撤退を提示していて興味深い。

 芝義太郎―幸運を手綱した男の物語 / 木下 博民 創風社出版 2006年10月発刊