和服
 昨夜は18時から22時まで、義務教育が一緒であった人たちとの会合。11月に一団で上京することが予定されているので、その最終打ち合わせということであった。

 ひとしきり協議が終了すれば、あとは酒の上での放談ということになる。学校を出てまっすぐ呉服店に勤務し、定年一年前にその店を辞したというE氏が話題の中心となった。

 勤続44年。つぎつぎに採用される高卒ルーキーを尻目に、中卒ながら「この業界を生き抜くために」の思いで、「頑張った」という。多くの人が、入社しては辞してゆくなかで、とうとう「生え抜きの社員」となった。

 売り上げをいかに、伸ばすか。業績が伸びたら、どんな形で社員に還元するか。品質の良い商品を、どんな形で確保し、購入者の満足度、暮らしの豊かさを実感してもらえるようにするか。そうした努力は、小さな店ながらも役員として遇してもらうことになった。

 しかし、「昨今の呉服業界」ーと、力説する。「老舗があいつぎ店仕舞いした」、「和服が売れないと言っても、以前は『こんにちは比べものにならない」状況」という。

 聞いてて、さもありなんと、同感することシキリであった。なんだろう。高級和服をもっていないと、「臆する」、「不都合」と考える機会も、階層も少なくなったということではないだろうか。
 「一億総中流」。こんなところにも、時代の変化があらわれている。