お盆
うり


♪おどみゃ盆ぎり盆ぎり盆から先ゃおらんと、盆が早よ来りゃ早よ戻る。

私は、この盆限りで年季奉公が明けるので、盆より先はもういない。
盆が早く来れば早く実家に戻る事ができるのに。

熊本県南部五木地方の子守歌「五木の子守歌」は哀調を帯びた民謡である。
この民謡は6番まで続いている。

極貧の子守娘が「死」に対する思いを歌っているのだから、
五木の環境はさぞかし厳しかったのではと思わせる。

私も中学2年の頃、下校すると直ぐに遠縁の叔母の赤ちゃんを
2ヶ月くらい子守をした経験がある。

13才の痩せた私の背中には着膨れした赤ちゃんは重くて辛い為、
座敷に下ろして玩具を使ったり、あやして笑わせたりしていた。

赤ちゃんが泣き止まなければ背中に背負うと眠ってしまう。
背中に背負う時間が長くなると叔母が心配して様子を見に来てくれた。

2ヶ月経つ頃に子守をしてくれるお姉さんが来てくれ、
私は子守を辞めたが、今でもその赤ちゃんは私に会えば喜ぶ。

今は、父親の後を継ぎ立派な会社社長になり親に私の話を聞いているので
私に会うと照れくさそうな顔をしながらもとても優しくしてくれる。

この町のお盆も、もう少しで終るがご先祖のお墓参りを済ませホッとしている。
北海道から帰宅した主人はごろごろし、口うるさく疲れるばかり。