短い秋がきた    
今年の冬はラニーニャ現象で凄く寒くなるとの事。
日本の反対側のペルーの海水温が低くなるらしい。

南の島も西風がヒューヒュー吹いて相変わらずぐずついた天気が続き、
歩いていても髪はぼさぼさになってしまう。

南の島に短い秋がやってきた。
借りた自転車で走りだした時、その気持も走り出した。

短い秋限定のその空気、
長袖でいると汗ばむ、半袖でいると少し肌寒い。

涙が出そうになるくらい秋独特のこの空気、
一生に1度の南の島の秋なのに。。

この葉がするりと顔の前を一回り舞いながら散り、
不思議な事に秋は、なぜか昔の寂しい秋を連れてくる。

枯葉が舞う道を父と背中をすぼめて暗い夜道を自転車で走ったことを。。
あの頃、21才の私は60半ばの父が哀れでならなかった。

「寒くない?お父さん。」すると必ず「まだお前には負けないぞ。」
物静かな父は声は小さいけれど健康で寝込んだ事もない。

あの頃の秋は貧しいながらも幸福だった。
親子で一緒にすごせたのだから。

そして今の私は南の島に来た事に感謝をして暮らしている。
これから色々な人と出会い、地域の人達と交流を持ちたい。