夢は枯野をかけめぐる 
丈艸(ぢゃうさう)、去来を召し、昨夜目のあはざるまま、
ふと案じ入りて、呑舟に書かせたり、おのおの咏じたまへ
旅に病むで夢は枯野をかけめぐる。芥川龍之介の枯野抄。

東京下町に産まれ育った三遊亭円楽さんの弟子、楽太郎さんが
「旅に病んで夢は枯野をかけめぐった人です。」円楽師匠を忍んで語った。

少女時代に近所に身体の不自由な若い人達が小さな工場で手仕事をしていた。
そこを通りかかった私が、「あらっ、この工場は誰が経営しているの?」
傍に居た誰かに聞いた時、「三遊亭円楽さんよ。」と聞いたような気がする。

昔の事ではっきり覚えてはいないので間違いかも知れない。
例え、間違いで有っても円楽さんという方は立派な方だと
その時思った事がある。

その後、区役所の前に円楽党が建っていた事は間違いない。
幾つもの大きな病気を抱えながらも明るく生きた円楽さんの
品のいい笑顔を思い出した。

円楽さんのように強く明るく生きられたらいいなと何時も思う。
風邪をひいたくらいで頭が痛い、身体がだるいと思いながら
心の中で愚痴をこぼして家事をする私は何て弱虫なんだろう。

今日の勤労感謝の日は、温暖な日中になりすごしやすかった。